こんにちは!今回は、『僧帽筋』の文献をまとめていきます!!
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○管理人プロフィール
▶足と靴専門の理学療法士。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です。
▶実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝え出来ます。(ニーズがあるのかは不明)
目次
・僧帽筋の解剖
・僧帽筋の作用
・僧帽筋のトレーニング方法
・その他
・まとめ
・僧帽筋の解剖
▶︎僧帽筋は、いわゆる『肩こり』の筋肉です!
▶︎首から背中の半分以上を覆っているので、とても触りやすい筋肉です。
専門的な位置関係はこちら↓
起始
・上部繊維▶︎上頂線、外後頭隆起
▶︎頂靭帯を介する全ての頸椎棘突起
・中部繊維▶︎第1〜4胸椎棘突起
・下部繊維▶︎第5ー12胸椎棘突起
停止
・鎖骨外側1/3(上部繊維)
・肩峰(中部繊維)
・肩甲棘(下部繊維)
↑こんな感じです。
これだけ大きな筋肉なので、3つの繊維に分けて説明されています。
・僧帽筋の作用
教科書上の記載では、
・上部繊維
▶︎肩甲骨を斜上に引いて関節窩を上方に回す
(前鋸筋下部と共同して)
▶︎頭を同則に傾けて、対側に回転させる
・中部繊維
▶︎肩甲骨を内側に引く
・下部繊維
▶︎肩甲骨を内側下方に引く
(上部繊維の回転作用を補助する)
・全体▶︎胸郭に対して肩甲骨を安定させる。
↑こんな感じになっています。
これだけ大きな筋肉なので、各繊維で作用が違うのもうなずけますね!!
その他作用については、下記文献参照下さい↓
【文献①】
僧帽筋下部の解剖学的機能は,肩甲骨の下制・内転・ 上方回旋である.また,3 次元的に解析した研究から肩甲骨の外旋・後傾にも関与していることが考えられて いる.
★スポーツ場面での役割
【文献①】
.野球の投球動作においては,橘内らの研究結果 から僧帽筋は Deceleration phase(減速期)で高い筋活 動を得ている
さらに,投手の身体特性を調査した Donatelli ら11)は僧帽筋下部の筋力が非投球側と比較し 投球側で大きいことを報告している.そのため野球の投 球動作における僧帽筋下部の役割は大きいと推察でき る.
↑こんな感じですね!
主要な作用以外では、
【僧帽筋下部繊維】
・肩甲骨の下制、内転、上方回旋、外旋、後傾
・投球動作では減速期に高い活動あり。
とのことでした。
・僧帽筋のトレーニング方法
では、文献をもとに、具体的なトレーニング方法を記載します!
【文献①】
僧帽筋下部の筋力トレーニングに関して,Oyama らは肩甲骨内転筋群に対する 6 種類のエクササイズの筋電 図比較を行い,僧帽筋下部は肩関節 90 度外転位・内外 旋中間位および肩関節 90 度外転・外旋位のエクササイズよりも肩関節 120 度外転・外旋位のエクササイズが有意に高値を示したことを報告している.
Ekstrom らは 肩関節に対する 10 種類のエクササイズを筋電図分析し, 僧帽筋下部のエクササイズは腹臥位オーバーヘッドポジションで僧帽筋下部の筋線維走行に沿った位置で実施す るエクササイズが最適であるとしている.
同様に,肩関 節周囲筋のエクササイズのレビューを行った Reinold らも僧帽筋下部の筋活動は肩関節挙上 90 度以下の挙 上では比較的低い傾向で,90 度~180 度にかけて急激に 増加することを述べている.これらの結果から僧帽筋下 部をターゲットとした筋力トレーニングはオーバーヘッ ドポジションで行うことが有効であると考えられる.
※「Y」で胸椎の伸展を指示すると,頚部・腰部が過度に 伸展し違和感がでやすく,肩甲骨が挙上してしまうなど 代償動作が起こりやすいため「Y」は僧帽筋下部の筋力 強化を目的とした場合のみ有効であると推察できる.以 上により,「U」は胸椎の伸展可動性を引き出しながら 僧帽筋下部強化を行えるオーバーヘッドポジションのト レーニングになると考えられる.
【文献②】
(側臥位にて)上部、中部線維は 30° と比較して 120° 以降有意に減少し、下部線維は 30° ~ 90° と 比較して 150° で有意に増加した。
側臥位での肩関節外転保持は 90° を境に抗重力下から従重力下へと変化する。このことから 90° 以降では上肢自重に伴い肩甲骨には挙上方向に対する制動 が必要になると考えられる。
90° 以降では肩甲骨は上方回旋位 を呈していることから、鎖骨、肩峰、肩甲棘上縁に停止する上部、 中部線維の筋活動は減少し、拮抗作用を有する下部線維が肩甲 骨の制動に関与したのではないかと考える。
臨床上、上肢挙上角度の増大に伴う、僧帽筋上部線維の過剰収縮 と僧帽筋下部線維の収縮不全によって肩甲骨の上方回旋不良が 生じている症例に対し側臥位での外転 120° 以降では僧帽筋上部 線維の抑制が、外転 150° 保持では僧帽筋上部線維の抑制及び僧 帽筋下部線維の筋活動促通が可能であることが示唆された
【文献③】
先行研究と今回の結果から,腹臥位での下肢空間保持における僧帽筋下部線維の筋活動は,空間保持側と反対の肩関節外転角度の影響が大きいことが判明した。つまり,腹臥位での下肢空間保持は,空間保持側と反対の肩関節外転角度を考慮することで僧帽筋下部線維の筋活動を選択的に促すことが出来る可能性が高いと考える。
【文献④】
集中的な僧帽筋下部線維筋力エクササイズを行うことで、僧帽筋上部線維等の過活動が抑制され、 頸部や肩の周囲筋のアンバランスの改善に加え、頸部痛や NDI が改善したと考える。今回のランダム化 比較試験の結果より、頸部痛患者に対する肩甲骨や胸椎の安定化エクササイズと併用した僧帽筋下部 線維筋力エクササイズ、頸部痛や機能障害、僧帽筋下部線維の筋力の改善に効果があることが示さ れた。
【文献⑤】上部繊維のストレッチ
肩甲骨の挙上・上方回旋を固定した状態で頸部を屈曲することで僧帽筋上部線維をストレッチング出来るが,屈曲よりも側屈する方が効果的にストレッチングすることが可能であった。
また,側屈に屈曲や同側回旋を加えても僧帽筋上部線維をさらに効果的にストレッチング出来ないことが明らかになった。
【文献⑧】僧帽筋上部リラクゼーション
先行研究において,肩こり有訴者は健常者と比較して僧帽筋上部線維(Upper Trapezius,以後 UT)の筋血流の低下や筋硬度が増加しており,これらの改善に物理療法やストレッチングが有用であると報告されている.
セルフエクササイズの一つとして,肩甲帯挙上の動作であるショルダーシュラッグ(シュラッグ)があり,この動作を行うことで頸部・肩の自覚的な症状が軽減したと報告されている
研究結果より,シュラッグ介入前後において UT の弾性率の変化が認められず,その効果に関しては 5 秒条件および 1 秒条件とも同様に UT の弾性率に有意な変化は認められなかった。
これらの結果より,シュラッグによって UT の筋硬度の減少効果はなく,収縮時間は筋硬度減少効果に影響を及ぼさないことが明らかとなった.
↑トレーニングについては様々なものが出てきましたが、簡単にまとめると
【僧帽筋下部繊維の強化】
・肩関節 120 度外転・外旋位のエクササイズが有意に高値。
・腹臥位オーバーヘッドポジションで僧帽筋下部の筋線維走行に沿った位置で実施するエクササイズが最適
・90 度~180 度にかけて急激に筋活動が増加
【僧帽筋上部繊維のリラクゼーション】
・頸部屈曲よりも側屈する方が効果的にストレッチングすることが可能。
・側屈に屈曲や同側回旋を加えてもも効果的にストレッチング出来ない。
・シュラッグ(肩甲骨挙上)によって UT の筋硬度の減少効果はなく,収縮時間は筋硬度減少効果に影響を及ぼさない
↑こんな感じでしょうか?
・その他
【文献⑥】
結帯動作は,肩関節の伸展・内旋,肩甲骨の前傾,肘関節の屈曲が必要となる
上肢下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い肩関節の内旋が行われていることが特徴である .そのため,肩関節の内旋に着目した理学療法評価や治療が行われることが多い.
しかし,肩関節の内旋可動域改善のみでは,十分な結果が得られないこともある.それは結帯動作時の母指が第 12 胸椎より高位となる場合に,肩甲骨の運動が重要であることが影響していると考えられる
①移動させる上肢と同側の肩甲骨付近を触れる場合に生じやすい肩関節を外転させるパターン(以下,外転方法)
②移動させる上肢と反対側の肩甲骨付近を触れる場合に生じやすい肩関節を内転させるパターン(以下,内転方法).
本研究より電気刺激を与えない結帯動作と比較して,結滞距離の延長および肩甲骨上方回旋角度の増大,肩甲骨前傾角度の減少を認めた.
僧帽筋上部線維は鎖骨の後退,後方回旋に作用し,肩鎖関節を介して間接的に肩甲骨の後傾,上方回旋が生じると考えられる.
僧帽筋上部線維の弛緩しにくい場合,外転方法では肩甲骨前傾が制限され,結帯距離が延長した
と考える.
内転方法では肩甲骨の前傾および下方回旋が制限されることで,結帯距離が延長したと考える
【文献⑧】僧帽筋上部リラクゼーション
先行研究において,肩こり有訴者は健常者と比較して僧帽筋上部線維(Upper Trapezius,以後 UT)の筋血流の低下や筋硬度が増加しており,これらの改善に物理療法やストレッチングが有用であると報告されている.
セルフエクササイズの一つとして,肩甲帯挙上の動作であるショルダーシュラッグ(シュラッグ)があり,この動作を行うことで頸部・肩の自覚的な症状が軽減したと報告されている
研究結果より,シュラッグ介入前後において UT の弾性率の変化が認められず,その効果に関しては 5 秒条件および 1 秒条件とも同様に UT の弾性率に有意な変化は認められなかった。
これらの結果より,シュラッグによって UT の筋硬度の減少効果はなく,収縮時間は筋硬度減少効果に影響を及ぼさないことが明らかとなった.
【文献⑨】
Endo らは,肩峰下インピンジメン ト症例の肩甲骨運動を分析し,上方回旋および外旋が減少していたことを報告している。また,Ludewig らは,インピンジメント症例では上肢挙上時に健常 者と比べて肩甲骨後方傾斜が減少すると述べている。
肩甲骨運動に影響する要因には,肩甲骨周囲筋の活 動性変容や筋疲労,軟部組織の短縮,不良姿勢 などが挙げられる。
なかでも,僧帽筋上部線維の活動 性を分析した先行研究では,インピンジメントや 腱板断裂症例において,上肢挙上時の筋活動量が増加 すること,また僧帽筋上部線維と前鋸筋の活動不均衡 (僧帽筋の筋活動増加と前鋸筋の筋活動低下)によっ て,肩甲骨運動が制限されることが明らかにされている
健常高齢者における僧帽筋下部線維の筋硬度 が,僧帽筋上部および中部線維と比較して有意に高かった。
また,僧帽筋下部の筋硬度と肩甲骨後傾角度 との間には有意な負の相関が認められた。
僧帽筋各線維の筋硬度の比較では,僧帽筋上部およ び中部線維と比べて下部線維が有意に硬いことが示さ れた。
Morise らは,僧帽筋上部・中部・下部線維 の厚さを若年者と高齢者とで比較し,下部線維のみが 若年者に比べ高齢者では有意に厚さが減少していると し,僧帽筋下部線維に加齢による影響が認められたと 報 告 し て い る 。
K i b l e r は , 僧 帽 筋 下 部 は 最 も 筋疲労の影響を受けやすい筋の一つであると述べてい る。これらのことから,僧帽筋下部は加齢や筋疲労に より僧帽筋上部および中部線維よりも柔軟性が失われ やすい可能性がある。
僧帽筋下部の筋硬度 と上肢挙上90°,120°における肩甲骨後傾角に有意な 負の相関が認められ,僧帽筋下部が硬いものほど,挙上中期以降の後傾角が少ないことが示された。
上肢挙 上に伴う肩甲骨後傾は,健常 成 人 で は 約20°起 こ る。 この肩甲骨の後傾によって肩峰下スペースが確保され, 肩峰下圧の上昇が防がれる
その他文献のまとめとしては、
・僧帽筋上部繊維の緊張が高いと、結帯動作を阻害する。
・肩甲骨後傾は,健常成人 で は 約20°起 こ る。 この肩甲骨の後傾によって肩峰下スペースが確保され, 肩峰下圧の上昇が防がれる。(肩甲骨外旋も重要)
・僧帽筋下部が硬いものほど,挙上中期以降の後傾角が少ない
↑こんな感じですね!
▶バラバラの文献で統一性がないですが、どれも重要事項ばっかりですね!
・まとめ
▶今回は、僧帽筋の文献についてまとめてみました!
▶基本的には、『上部繊維は緩める』『下部繊維は鍛える』というイメージで問題ないかと思います!
▶各場面別のトレーニング方法については、また別記事を参照下さい!
今回はこれで終わります!
最後までお読み頂きありがとうございました!☺
【文献①】
佐藤ら.僧帽筋下部に対する筋力トレーニングの筋電図分析.日本アスレティックトレーニング学会誌 第 5 巻 第 2 号 159-163(2020)
【文献②】
福島ら.僧帽筋下部線維への選択的アプローチを考える 側臥位での肩関節外転保持に着目して.Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)2008
【文献③】
池澤ら.腹臥位での下肢空間保持課題が反対側の僧帽筋下部線維の筋活動に与える影響.第49回日本理学療法学術大会2014
【文献④】
Chong-Suh lee.Effects of Lower Trapezius Strengthening Exercises on Pain, Dysfunction, Posture Alignment, Muscle Thickness and Contraction Rate in Patients with Neck Pain; Randomized Controlled Trial.Medical Science Moniter,26:e920208,2020
【文献⑤】
中村ら.僧帽筋上部線維の効果的なストレッチング肢位の検討.Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集).2016
【文献⑥】
白井ら.結帯動作に対する僧帽筋上部線維の影響
─電気刺激を用いて─.2021 年 36 巻 3 号 p. 433-437
【文献⑧】
高橋ら.ショルダーシュラッグが僧帽筋上部線維の筋硬度へ及ぼす影響の検討.Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)2019
【文献⑨】
政所ら.高齢者における僧帽筋の筋硬度が肩甲骨運動におよぼす影響.Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol.8,No.2:47-50,2018
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