こんにちは、足と靴について研究中の理学療法士tajaxです。
今回は、理学療法学科の学生さん向けに、動作の実用性についてお伝えします。
●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、現在病院で勤務している理学療法士です。
▶︎まだ6年目のため経験不足ではありますが、定期的にバイザーとして学生さんの指導を行っています。
●このブログをみて得られるメリット
①動作をみる上で1番大切な考えが分かる
②統合と解釈が書きやすくなる!
③結果、実習中寝れるようになる
●目次
・そもそも実用性って何?
・それぞれの解説
安全性
安定性
速度
持久性
社会性
・実用性の優先順位は人それぞれ
・各患者さんの状況を包括的に考えて、アプローチする。
・そもそも実用性って何?
▶︎動作の実用性とは、
その動作が生活において実用的であるのかということを、様々な観点で判断することを指します。
実用性は5つに分類されます。
・安全性
・安定性
・速度
・持久性
・社会性
以上の5つです。
動作をみる上で、常にこの5つの視点をもって観察する必要があります。
・それぞれの解説
・安全性
▶︎これについては、分かりやすいかと思います。
『実際にその動作が安全に遂行出来るか』という視点です。
特に高齢者のリハビリする際に、1番気をつけないといけないものが、これになります。
・安定性
▶︎さっそく安全性と同じような言葉が出てきたので、パニックになる方もいるかと思います。
しかし、安全性とは全く違う意味になります。
安定性は、『いつでも同じように動作ができるか』という視点になります。
つまり、お昼はしっかり歩けていても、夜になるとフラフラだったら、
その方の歩行は安定性が低下している、と判断出来ます。
例えば、パーキンソン病の患者さんなどであれば、日内変動が激しいので安定性が低下している方が多いです。
逆に、日中の歩行が見守りレベルで歩けており、夜間も同じように見守りで歩けるのであれば、安定性は高いと言えます。
・速度
▶︎これは説明するまでもないですね。
動作の速度については、例えば
・家の近くの信号を、時間までに渡らないといけない人
・犬の散歩をするので、早く歩かないといけない人
・若くてバリバリ仕事をしている人
⬆︎これらの方々には、ある程度の速度が必要になります。
・持久性
▶︎これについても、安全性と比べると優先順位は低いですが、重要な視点になります。
例えば、
家からスーパーまで20分歩いて行かないといけない人は、
片道20分✖️往復 +買い物時間を入れて、
だいたい1時間くらい歩いたり、立ったりする必要があります。
なのでこの方は、安全に歩けることに加えて、
退院するまでに1時間くらい歩けるようになる必要があります。
一方、普段ベッドからトイレまでの移動しか行わない方は、
トイレまで歩ける持久力のみで良いので、持久性という意味ではあまり必要がありません。
・社会性
▶︎行っている動作が、社会的に(周りから見て)おかしくないか、という視点です。
これについては、結構分かりにくいので、例を挙げてお伝えします。
例えば、80歳のおじいちゃんがシルバーカーを押すのと、17歳の女の子がシルバーカーを押すのでは、周りから見てどっちに違和感を感じるでしょうか?
当然、17歳の女の子がシルバーカーを押している方が変ですよね。
なので、この場合は17歳の女の子の歩行の方が、社会性が低い(あくまで動作をみる上で)ということになります。
もちろん、17歳の女の子がシルバーカーを押すことは、何も悪いことではありません。
ただ、17歳という年齢を考えると、おそらく本人もシルバーカーで歩くよりは、頑張って松葉杖などで歩く方を選択すると思います。
それはなぜかというと、若者のシルバーカー歩行は周りから変に見えるからです。(つまり、動作における社会性が低い)
このように、(動作における)社会性という視点は、本人の置かれている立場や考えにかなり左右されます。
・実用性の優先順位は人それぞれ
先ほどの例をみてみると何となくお分かりかと思いますが、
5つ挙げた実用性の優先順位は、人によって変わります。
例えば、家のトイレまでの数mを一人で行くだけで良い90歳のおばあちゃんがいた場合、
トイレまで安全に歩けたらいいので、
・安全性
・安定性
・(速度)
の獲得が最重視されます。
逆に、家で数mしか歩かないことを考えると、
・持久性
・社会性
これについては順位が低めになります。
一方、17歳の女の子が外で歩く場合、もしかしたら
社会性が1番になるかもしれません。
もちろん、外を歩く時点で安全性・安定性・速度・持久性の全てが要求されますが、
高齢の方よりも、社会性を重視した歩き方(一般的にいう正常歩行)を意識してあげる必要があります。
・各患者さんの状況を包括的に考えて、アプローチする。
このように、人によって状況も違いますので、動作における実用性については、どれを最優先にするかが大切になります。
そのため、アプローチをしつつ、患者さんの置かれている環境や性格を把握することは、とても大切になっていきます。
それによってアプローチする内容も変わりますからね!
以上、今回は動作の実用性について記載しました。
この考え方がないと、アプローチ出来ないといっても過言ではないので、学生さんは是非覚えておいて下さい!
最後までお読みいただきありがとうございました😊
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