こんにちは、足と靴について研究中の理学療法士tajaxです。
今回は、理学療法学科の学生さん・新人さん向けに、SOAPの書き方についてお伝えします。
前回記事では、基本的な説明をさせて頂いたのですが、今回は「具体的に、どこに何を書いたらいいのか」というテーマで、具体例を2つ挙げていきたいと思います。
まずは前回記事から↓
●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、現在病院で勤務している理学療法士です。
▶︎まだ6年目のため経験不足ではありますが、定期的にバイザーとして学生さんの指導を行っています。
●このブログをみて得られるメリット
①SOAPの意味が深まる
②SOAPの記載場所で困らなくなる
目次
・圧迫骨折患者の例
・変形性膝関節症患者の例
・圧迫骨折患者の例
では、さっそく1例目です!
↓例えば、患者さんの評価をして以下の情報が得られたとします。
・70代女性
・第3腰椎圧迫骨折(受傷後 1週間経過)
・歩行は歩行器見守り。右下肢すり足軽度あり。
・感覚:スクリーニングにて問題なし。
・疼痛:腰背部:起き上がり時NRS6/10
・既往に右片麻痺(不全)
・起き上がり動作:手すりを持って修正自立
・すり足については、麻痺の影響や二次的な筋力低下が考えられる。
・疼痛について問うと「ちょっとマシになってきた」とのこと。
・プログラムは四肢関節可動域訓練、歩行訓練
・痛み止めは毎食後に飲んでいるとのこと。
この場合、SOAPで当てはめるとどうなるでしょうか?
このように、情報が乱雑に書いてあったら、意外と分かりにくいですね。
まずはS(主観的情報)から
▶︎これについては、患者さん本人が言ったことになりますので、
選択肢は
「ちょっとマシになってきた」
これのみになります。
その他の項目は、実際に本人が言っていないことなので、書いたら間違いになります。
・痛み止めは毎食後に飲んでいるとのこと。
⬆︎これについては、実際に本人が言っていたら、そのままの言葉では記載しても大丈夫です。
この書き方だと、実際に本人が言った内容を変換して書いているので、厳密にはSには書けません。
次はO(客観的情報)です。
▶︎これは、本人の訴えや評価者自身の考えは排除した状態で、客観的に得られたもののみを記載します。
なので、
【機能面】
・感覚:スクリーニングにて問題なし。
・疼痛:腰背部:起き上がり時NRS6/10
【活動面】
・起き上がり動作:手すりを持って修正自立
・歩行は歩行器見守り。右下肢すり足軽度あり。
これらのみを記載します。
※初期評価ではない設定なので、Oでの現病歴・既往歴の記載はあえて省いています。
次はA(評価)です。
これについては、自分の考えを記載するので、この中では
・すり足については、麻痺の影響や二次的な筋力低下が考えられる。
⬆︎これのみですね。
ここについては
O(客観的情報)に自分の考えを書かない
という意識があれば、基本的に大丈夫だと思います。
P(計画、治療)
▶︎これについては簡単ですね。
実際に行ったプログラムを記載するので、
・四肢関節可動域訓練、歩行訓練
⬆︎これのみになります。
まとめると、
【基本情報】
・70代女性
・第3腰椎圧迫骨折(受傷後 1週間経過)
・既往歴 右片麻痺
S:ちょっとマシになってきた
O:
【機能面】
・感覚:スクリーニングにて問題なし。
・疼痛:腰背部:起き上がり時NRS6/10
【活動面】
・起き上がり動作:手すりを持って修正自立
・歩行は歩行器見守り。右下肢すり足軽度あり。
A:すり足については、麻痺の影響や二次的な筋力低下が考えられる。
P:1四肢関節可動域訓練
2歩行訓練
となります
。
※簡略化したので、ツッコミどころ満載な内容ではあるかと思いますがご容赦ください。笑
・変形性膝関節症の例
では2例目は、間違い探しをしてみて下さい!
完全な場所の間違いが3つ
あまり適切ではない記載が2つあります。
【基本情報】
・70代男性
・左変形性膝関節症(人工関節置換術 2週後)
・既往歴:右膝も高度な変形性膝関節症
(stage 3レベル)
S:腹減ったな
O:
【機能面】
・視診/触診:左膝関節周囲:腫脹、熱感、発赤軽度あり。術創部周囲の皮膚伸長性低下あり。
・感覚:スクリーニングにて両下肢ともに問題なし。
・疼痛:左膝前面:安静時VAS3/10、荷重時6/10
右膝内側面:荷重時痛3/10
・可動域:膝屈曲 右100° 左85°
伸展 右-20° 左-10°
・立位バランス:閉脚保持10秒可能
【活動面】
・立ち上がり動作:疼痛確認しながら10回実施。
・車椅子移乗:修正自立。
・歩行:歩行器見守り。疼痛のためか、右下肢と比較すると左下肢立脚期短縮。遊脚期につま先の引っかかり+。
A:プラン継続する。
P:1両下肢関節可動域訓練
2立ち上がり練習
3歩行練習
見つかりましたか?
正解はこちら↓
※赤字の3つが場所の間違い。
※青色の2つが記載があまり良くない例です。
S:腹減ったな
O:
【機能面】
・視診/触診:左膝関節周囲:腫脹、熱感、発赤軽度あり。術創部周囲の皮膚伸長性低下あり。
・感覚:スクリーニングにて両下肢ともに問題なし。
・疼痛:左膝前面:安静時VAS3/10、荷重時6/10
右膝内側面:荷重時痛3/10
・可動域:膝屈曲 右100° 左85°
伸展 右-20° 左-10°
・立位バランス:閉脚保持10秒可能
【活動面】
・立ち上がり動作:疼痛確認しながら10回実施。
・車椅子移乗:修正自立。
・歩行:歩行器見守り。疼痛のためか、右下肢と比較すると左下肢立脚期短縮。遊脚期につま先の引っかかり+。
A:プラン継続する。
P:1両下肢関節可動域訓練
2立ち上がり練習
3歩行練習
順に解説すると、
・立位バランスについては、
動作になりますので活動面のところに記載します。
・立ち上がり動作については、実際のプランのみ記述しているので、Pに記載します。
・疼痛のためか については、
セラピストの考えになりますのでAに記載します。
また、間違いではないのですが、
S:腹減った。 は、あまりその他の内容と関係ないので、あまり良い記載ではありません。
さらに、
Aのプラン継続する についても、結構こういう記載をしがちなのですが、
セラピストの考えが全く反映されていないカルテになるので、出来るだけ記載した方が良いです。
これらを訂正すると、
S:何もしてなくても痛いね
O:
【機能面】
・視診/触診:左膝関節周囲:腫脹、熱感、発赤軽度あり。術創部周囲の皮膚伸長性低下あり。
・感覚:スクリーニングにて両下肢ともに問題なし。
・疼痛:左膝前面:安静時VAS3/10、荷重時6/10
右膝内側面:荷重時痛3/10
・可動域:膝屈曲 右100° 左85°
伸展 右-20° 左-10°
【活動面】
・静止立位:閉脚保持10秒可能
・車椅子移乗:修正自立。
・歩行:歩行器見守り。右下肢と比較すると左下肢立脚期短縮。遊脚期につま先の引っかかり+。
A:左膝の荷重時痛により、右下肢と比較して立脚期が短縮していると考えられる。
P:1両下肢関節可動域訓練
2立ち上がり練習
3歩行練習
⬆︎こんな感じになります。
分かりやすいように若干内容を変えましたが、大まかにはこんな感じです。
▶︎いかがだったでしょうか?2つ例を出しただけで結構な文量になってしまいました。
読みにくくて申し訳ありません。😂
以上で、SOAPの書き方(具体例)を終わります。
少しでも理解が深まれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました😊
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