▶︎理学療法における足底板作成といえば、入谷式足底板だと思います!
▶︎今回は、入谷式足底板の簡単な概要と、文献をまとめていきます!
▶︎専門職向けの記事になりますのでご注意下さい!
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●この記事の信頼性
▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。
▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。
●このブログをみて得られるメリット
・入谷式足底板の概要が分かる
・文献をまとめてかんたんに確認出来る
目次
・入谷足底板とは?
・入谷式足底板の治療概念
・文献まとめ
・終わりに
・入谷足底板とは?
▶︎足と歩きの研究所、所長の入谷誠氏が考案した足底板になります。
理学療法における足底板では1番有名なものですね。
▶︎従来の足底板は、静的なアライメントや足部アーチの修正に重きをおいていましたが、入谷式足底板では『動作の改善』を重要視しています。
・入谷式足底板の考えかた
▶︎障害の多くは小さなメカニカルなストレスの繰り返しにより 発生し,これが疼痛などの症状を引き起こす原因になります。
▶︎このメカニカルストレスを減じなければ治療により良好な結果を得ることができません。
▶︎地面に接する足部を制御するインソールは 身体重心,足圧中心,床反力ベクトルなどを変化させるために, 身体の姿勢や動作に影響を及ぼします。
▶︎入谷式足底板は,『足から身体の姿勢や動作を変化させること により,身体各関節のメカニカルストレスを減少させ,より効 率的な身体動作を誘導するもの』です。
参考文献
入谷:生活を支えるインソールの工夫(2014)
簡単な流れでいうと、
①足底板で足部をコントロール
②それによって姿勢や動作が変わる
③各部位のメカニカルストレスが軽減する
④症状が改善する
↑このような感じですかね。
大切なのは、姿勢や動作が改善されるということは、足部によるコントロールもその都度修正していく必要があるということだと思います。
・文献まとめ
▶︎ではさっそく、公開されている文献をまとめていきます!
【入谷式 固有筋収縮】
▶︎Quad. に収縮が加わることで重心が前方移動し、Ham. に収縮が加わることで重心が後方移動する傾向にあることがわかっ た。
▶︎入谷は、Quad. には下腿を前傾させ、重心を前方に移動させる役割が、Ham. には下腿を後傾させ、重心を後方へ移動さ せる役割があると述べている
引用
宮入ら:固有筋収縮と立位での重心位置との関係—入谷式足底板作製に用いる評価法に着目して—
▶︎方法:腸腰筋収縮の開始肢位は股関節、膝関節ともに屈曲90°の端坐位とし、徒手抵抗に抗した股関節屈曲を5回行わせた
▶︎ 腸腰筋の固有筋収縮が足圧中心を前方変位させることが示唆された(0.39センチ)
引用
栗林ら:腸腰筋の固有筋収縮が片脚立位時の足圧中心に与える影響
▶︎入谷式では、評価の際に目的の筋肉に収縮を入れて反応をみます。↑足底板以外でも、運動療法後の身体反応として治療にも使えそうですね!
【入谷式 骨盤回旋テスト】
▶︎他動的な股関節回旋可動域は荷重位における骨盤回旋テストの骨盤回旋角度に、ほとんど影響を与えな いことが明らかになった。
▶︎岩永らは距骨下関節の肢位により骨盤回旋角度が変化すると報告し、土居らは足部外反、内反強 制で骨盤回旋角度が変化すると報告している
つまり、骨盤回旋テストは、足部肢位の影響を強く受け、他動的な股関節回旋 可動域との関連は少ないことが示唆された。
引用
佐々木ら:荷重位骨盤回旋角度と他動的股関節回旋可動域の関係
【後足部アライメントとFFD】
▶︎後足部肢位が変化するこ とで立位アライメントにも変化が加わり,結果的に全身の筋緊張が変化したことが要因と考えられる。
▶︎呼気ガス分析の結果は, FFD 低下群に比べ FFD 向上群において酸素摂取量および二酸化炭素排出量ともに有意に少なかった。
▶︎FFD 向上群 において歩行時の筋活動が少なかったことを示唆し,FFD 向上群では歩行のエネルギー効率が良いといえる。
引用
上島:立位体前屈評価と歩行時エネルギー効率の関係性 歩行評価の一助として立位体前屈評価は有用か
【入谷式足底板 横アーチ】
▶︎HL (踵離地)遅延群では HL 前 10% において GL の筋活動が増大し、HL 後 10% において TP (後脛骨筋)と PL (長腓骨筋)の筋活動が 増大した。これは遅延群では HL が遅く、下腿前傾が増大するために制御作用として働く GL の筋活動が増大するものと推察 する。
▶︎HL 後に生じる TP と PL の筋活動増大は、HL が遅延することにより、その後の身体前方推進力を増大する作用 として TP や PL の筋活動を増大させた事が考えられる。
▶︎このことは、遅延群において HL 後の膝関節前方加速度の増大がみら れたことと関連があるものと思われる。
入谷式足底板における中足骨後方部分の横アーチパッドの貼付 位置に準じて、パッドなしから 2mm までを 0.5mm 刻みで貼付
▶︎ 早期群では高めのパッドが歩き やすいと感じ、遅延群では低めのパッドを歩きやすいと感じる傾向にあった。
▶︎中足骨後方部分の横アーチパッドは高く処方 すると HL が遅延し、低めに処方すると HL が早期に生じるとされている。
引用
財前ら:踵離地早期群と遅延群における歩行時下肢筋活動と中足骨後方部分の横アーチパッドの高さによる歩きやすさの違い
▶︎中足骨パット歩行は下腿傾斜角と膝関節屈曲角度の増加を生じさせることが示された.また、膝屈曲角度の変化はより早期に出現する傾向があった
▶︎ 楔状骨パットにて下腿傾斜角と膝関節角度が低下する可能性が考えられた.
↑使用した素材:中足骨レベルの横アーチ後方部分への足底パット貼付(以下 , 中足骨パット .2mm 厚のポロンシートソフト縦 15mm ×横 30mm),
▶︎楔状骨レベルの横アーチへの足底パット貼付(以下 , 楔状骨パット .3mm 厚のポロンシートソフト縦 30mm ×横 25mm),
引用
島田ら:中足骨と楔状骨レベルの横アーチに対する足底パットが歩行の立脚期に及ぼす影響 ̶矢状面上での下腿と大腿傾斜角および膝関節角度に着目して
▶︎パッドの 形状は縦 1cm×横 2cm×厚さ 2mm の長方形とし第 4 中足骨の中央を基準線とし,基準線より前方に前方パッドを後方に後方パッドを貼付
▶︎ 前方パッド→HC”HO の短縮と HO”TO の延長
▶︎後方パッドを貼付することで HC”HO の延長と HO”TO の短縮 に影響する。
▶︎入谷は 前方パッドの貼付によって歩行時に股関節を伸展に誘導すると述べており,立脚後期で生じる股関節の伸展が増大することで 立脚後期が延長し,TO が遅延したのではないかと考えられる。
▶︎後方パッドの貼付に関しても歩行時に膝関節を屈曲に誘導すると述べており,膝関節が屈曲に誘導されることによって立脚中期での膝関節伸展が遅延し、HO が遅延したのではないかと考えらえる。
▶︎これらの影響から前方パッドと後方パッドの貼付によって HOとTO が遅延したのではないかと考えらえる
引用
高見ら:入谷式足底板における中足骨レベル横アーチパッドが歩行中の踵離地と足尖離 地のタイミングに与える影響について
【入谷式 外果挙上】
▶︎上島らは入谷式足底板での外果挙上が、歩行時の骨盤の外方加速度を 減少させたと報告し、腓骨挙上が近位脛腓関節を介して脛骨を内上方に向って押し上げる力になった事をその要因としている
▶︎腓骨挙上・下制は、脛骨を介して膝関節の内外反運動に影響していると示唆される
▶︎腓骨の挙上によって膝関節の内方化、腓骨の下 制によって膝関節の外方化を促せる可能性があると考える。
▶︎このことから、FTA などの骨形態の変化がない場合でも、膝関 節の内外反ストレスをコントロールする目的で腓骨の高位を操作することは効果が期待できると考えている。
引用
安廣ら:変形性膝関節症における、腓骨の高位と膝関節アライメントとの関係性について
【入谷式長パットの効果】
▶︎LRを早期に生じさせ、大腿部筋活動および内側加速度を変化させるとともに,股関節外転筋力に影 響を与えることが示された。
(長パッドとしてポロンシートソフ
ト2 mm(1 cm×10 cm)を用い,第5中足骨底近位部に 足長軸に対して垂直に貼付した)
▶︎長 パッドの貼付位置と形状から推察すると,初期接地(以 下IC)からLRに作用し,立方骨部の外側縦アーチなら びに立舟関節を保持することが予測される。
▶︎外側縦アー チ及び立舟関節の保持は舟状骨内側を下制し,身体を 内側方向に誘導するとともにLRを早期に生じさせるこ とが考えられる
▶︎本研究の結果においても長パッド貼付 後ではLRが早期に生じ,内側加速度の増加と大腿二頭 筋活動低下がみられた。
▶︎立脚初期では身体の外方加速 度制御のために大腿外側筋群が働き,体幹前傾制御の ために股関節伸展筋並びに膝関節屈曲筋群がそれぞれ働くとされている
▶︎長パッド貼付により,立脚初期 に身体を内側及び前方へ移動させることにより両方の 機能を併せ持つ大腿二頭筋の筋活動が減少し,矢状面 において反対の作用を有する大腿直筋の筋活動が増加 したものと推察する
▶︎中殿筋及び大腿筋膜張筋は外方 動揺制御筋であるが,体幹前傾制御機能は有していな いため,有意な差が生じなかったものと考えられる。
▶︎また,大殿筋は20%STPで有意な増加がみられた。臨 床においては大殿筋とST回内は密接な関係があり,入 谷式足底板における固有筋収縮を用いた評価において は,大殿筋活動を促通して歩容の円滑性が得たれた場 合にST回内誘導が示唆される
▶︎ST回内が示唆された場 合は長パッドを選択することが多く,長パッドの役割 は身体を内側及び前方へ向かわせることが推測され、LR 以降の骨盤前方回旋運動を促通する作用は,ST 回内 誘導と類似している。
▶︎大殿筋 活動増加はST回内誘導による大殿筋のCKCの作用増大と関係があるものと推察される
(トレンデレンブルグと中臀筋)
▶︎骨盤の側方動揺の典型例としてトレンデレンブ ルグ歩行が挙げられ,その原因は中殿筋等の大腿外側 筋群の筋力低下とされている 。
▶︎トレンデレンブル グでは対側の骨盤が下制し,その回転モーメントを制 御するためには大腿外側筋群の筋力が必須である。
▶︎トレンデレンブルグは大腿外側筋群の筋力を必要以上に発揮している状態であると捉えることもできる。
▶︎その状態であると仮定するならば,長 さ張力曲線の原理から股関節外転筋力を発揮することは難しく本当の筋力低下ではなく見かけ上のものであると推測される
▶︎本研究において長パッド貼付により内側加速度が増加し大腿外側筋群の一つである大腿二頭筋の筋活動が低下したことと股関節外転筋と反対の作用を有する長内転筋活動が減少したことにより股関節外転筋力を発揮しやすい状態となり結果として長パッド貼付側の股関節外転筋力が増大したものと推察される
引用
財前ら:入谷式足底板における長パッドが歩行時大腿部筋活動 及び股関節外転筋力に与える影響
【片麻痺 足底板】
▶︎片麻痺患者においても足底からのアーチサポートを行うことで、歩行スピード、歩行効率に変化が見 られた。▶︎Stage 別においても Stage4・5・6 それぞれに足底板の効果が認められた。
▶︎Stage4 では前方への推進力よりも側方動揺が歩行効率低下に影響していると思われ側方への安定性向上を誘導することで、歩行速度↑と示唆。
▶︎Stage5 では側方不安定性、前方への加速が歩行高率の低下に影響しているものと思われ、側方への安定性と前方への加速を誘導することで歩行速度↑と示唆
▶︎Stage6 では、側方の安定性は得られており、前方への加速のみ を誘導することで歩行スピードの向上が見られたと示唆された。
※サポートの種類は不明。入谷式足底板
引用
中野:片麻痺患者における足底挿板の効果
【入谷式 股関節OA】
▶︎Hip-OA に対して,足底板を処方し,全例で歩行時痛が軽減 した.歩行時痛軽減に至った足底板の特徴は全例にて距骨下関節回 外誘導,第 1 列底屈 / 回内誘導であった.
▶︎距骨下関節回外誘導は運 動連鎖にて股関節を内旋にさせ,大腿骨頭と寛骨臼の被覆率を高め, 股関節が安定する
▶︎距骨下関節回外誘導は足部を硬くし,第 1 列底屈 / 回内誘導は立脚期中期以降に下腿の前方移動を促す.
▶︎こ の 2 点は,足関節底屈モーメントを高め立脚期後半の股関節伸展の 代償として働く.
▶︎これらの効果が歩行時痛の軽減に繋がったと考え られる
引用
斉藤ら:変形性股関節症に対する入谷式足底板の効果について 〜足底版作成前後の歩行時痛軽減効果〜
・終わりに
▶︎入谷式足底板は治療概念もしっかりしており、文献も多数ありますのでとても勉強になりますね!
▶足底板を作成する以外でも役に立つスキルが様々ありますので、どの分野で活躍する理学療法士にも通じる知識だと思います。
▶︎新たに文献を発見したら追加していきますので、繰り返しご覧になって頂けたらありがたいです!!
▶︎最後までご覧頂きありがとうございました😊
【足部評価まとめ】
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※入谷式足底板の基礎を学びたいあなたはこちら↓(わたしも読みまくりました。笑)
入谷式足底板(基礎編) (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ) [ 入谷誠 ]
▶︎足底板も大切ですが、『正しい靴選びが出来ているか?』ということも大変重要です。
特に子供の頃は足の骨も完全に骨化していないので、特に靴選びが大切です。
子供靴についての知識も身につく子供靴のサイトを作成しましたので、お子さんがおられる方は是非ご覧下さい!😁
●靴のレビューサイト【靴ログ】
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