外反母趾角とは?(測定方法 角度 手術方法)【専門職向け】

検査・測定

今回は、外反母趾角について記載します!

この記事では、外反母趾角の測定方法やアプローチ方法などを、文献を参照しながらまとめていきますので、ぜひ最後までご覧下さい!

※実際に現場で測定することのある専門職向けなのでご注意ください!

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●この記事の信頼性

▶︎記事を書いている私は、運動の専門家である理学療法士(国家資格:7年目)であり、解剖学・運動学・生理学を基本とした知識があります。

▶︎さらに足と靴の専門機関にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は豊富です。実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝えできます。

●このブログをみて得られるメリット

・外反母趾角の測定方法が分かる

・外反母趾角が異常である時のアプローチ方法の一部が分かる

目次 

・外反母趾角とは❓

・外反母趾角の測定方法

・外反母趾角が異常な原因

・外反母趾角が異常な時の特徴

・具体的なアプローチ(運動療法・手術)

・その他文献

・まとめ

・外反母趾角とは❓

▶︎外反母趾角とは、外反母趾の重症度をみる角度です。

▶︎外反母趾の定義づけにも利用されている指標になります。

↓【外反母趾ガイドライン(2008)】

▶︎外反母趾は、母趾 MTP 関節の外反と内旋を伴う有痛性の疾患である。
▶︎外反母趾を有する者は、外反母趾角(Hallux valgus angle:以下HVA)が20°以上になり、疼痛を覚えることで診断されることが多い

↑つまり外反母趾角が20°以上になると『外反母趾』と診断されるということですね。

▶︎外反母趾の特徴としては

・第一中足骨の内反

・母趾 MTP 関節部の突出

・母趾の基節骨の 外転・回内変形

・開帳足

が挙げられます。

▶︎外反母趾が進行すると、第 1 基節骨が第 1 中足趾節間第 1 中足骨頭周囲の軟部 組織や骨性隆起が腱膜瘤を生じさせて疼痛を誘発することがありますので、要注意です。

▶︎また、二次性徴が起こり体重の 増加する時期に増加する傾向が有り,40 歳以降で骨格 筋に脆弱性をきたす頃に再度増加する傾向にあり、高齢になってから変形が加速していきます。

引用
石川ら:健常者において静的立位での外反母趾角と後足部アライメントは関連があるか(2017)

引用
高井ら:外反母趾を有する若年者と高齢者の足部形状の違い(2012)

・外反母趾角の測定方法

▶︎外反母趾角の測定は、

・レントゲンによる測定

・フットプリントによる測定

・臨床上の簡便な測定

これらの方法があります。

▶︎レントゲンでの測定では、

f:id:tajax:20200929184346p:image

・第一中足骨の長軸

・第一基節骨の長軸

↑これらのなす角度で測定します。

▶︎また、フットプリント上での測定では、

f:id:tajax:20200929183255p:image

↑足の内接線と第1趾接線のなす角度を測定します。

▶︎臨床上では、

・第1中足骨頭と第1基節骨頭を結ぶ線

・第1中足骨頭と内果後方を結ぶ線

↑これらのなす角度を体表より測定します。

▶︎当然、レントゲンによる測定が1番信頼性が高く、研究等では最も用いられている方法かと思います。

▶︎しかし、臨床で毎回レントゲン撮影するわけにもいかないので、簡易的な方法も覚えておくと役に立ちますね。

・外反母趾角が異常な原因

▶︎外反母趾の原因は、

・靴などによる外的なもの

・身体による内的なもの

これらがあります。

▶︎靴などによる外的なものは、つま先が細くて指を圧迫するなど、理由がシンプルで分かりやすいかと思います。

しかし、外反母趾は後足部の影響により生じることも多く、扁平足などとも関連があります。

以下文献を参照ください↓

【外反母趾と扁平足の関係】
▶︎Kalenは思春期を対象とし,外反母趾では扁平足が8~24 倍多く合併していることを報告している。

【内側アーチ低下の影響】
▶︎内側縦アーチが低下するとアーチの下部を走行する長母趾屈筋や母趾外転筋 が近位へ牽引され,第一中足骨の内転,母趾基節骨の外転作用が生じる
▶︎内側縦アーチの低下は距骨下関節回内に伴い距舟関節と踵立方関節の関節軸が平行に近づき足部の剛性が低下すると生じる

引用
石川ら:健常者において静的立位での外反母趾角と後足部アライメントは関連があるか(2017)

▶︎このように、扁平足などで土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)が低下すると、連鎖的に外反母趾にもなりやすくなるため、後足部のケアにも重要になります。

・外反母趾角が異常な場合の特徴

▶︎外反母趾角が増加すると、様々な特徴が生じてきます。

↓以下文献

【外反母趾 歩行】
▶︎HVA (外反母趾)群は健常群に比べ歩行時の関節モーメントが有意に低値を示す結果となった。
▶︎また,その影響は特に立脚初期から中期にかけて膝関節の矢状面および足関節の矢状面,水平面において顕著であった。

▶︎外反母趾 患者は歩行時に膝関節の内反ストレスが増大するという報告があるが,今回の研究でそのような結果が得られなかった理由の 1 つは対象者を痛みの無い健常者としたことが考えられる。このことから,疾病に至る以前の若年者の動作は実際の患者とは異な る戦略を用いている可能性が考えられた

引用
笠野ら:若年健常女性の外反母趾角と歩行時関節モーメントの関係について
(2014)

【外反母趾角 歩行】
▶︎内側縦アーチと外反母趾角との関係については負の相関が認められると報告されている。
▶︎歩行時の関節モーメントと第 1 趾側角度との関係については,第 1 趾側角度が大きいほど,足関節モーメントは小さく,これは歩行時立脚期の足関節機能の低下を意味すると考えられた

▶︎第 1 期の足関節モーメント低下 の現象は,踵接地直後から立脚中期へ移行していく段階で,外反母趾に伴う母趾の支持性低下などによって,母趾又は足趾側へ 重心を移動させていくことを抑制しているか,もしくは同様の理由により荷重のタイミングが遅延していることが考えられた。

引用
笠野ら:足部形態が歩行時下肢関節に及ぼす影響 外反母趾角に着目して

【外反母趾 歩行時】
▶︎Blomgren ら は外反母趾患者の 歩行中の足圧分布を計測し,足底外側へ荷重が移動して いることを報告した.
▶︎よって運動療法を組み立てるに際 して,他部位や歩行時との関連性を検討する必要がある と考えられる

▶︎外反母趾を呈すると母趾外転筋は底側に回り込むため母趾は 内反で きなくなり,母趾内転筋の張力の ために第1中足骨が 内 反 し て も第 1 基 節 骨はもとの位 置 に 留 まり結 果 的に母趾は外反する。

▶︎したがって 筋作用は 逆に増悪因子となり変形が進行する。

引用
清水ら:外反母趾角を短期間で改善させ る ための 足底挿板療法の試み ー外反母趾角の改善が得られた 1症例を通して一

【外反母趾 フロントランジ】
▶︎フロントランジ動作時のknee in-toe outと扁平足には因果関係があるとの報告がある。
▶︎我々は足部に着目して内側縦アーチ,横アーチ,外反母趾角,内反小趾角を測定することで,knee in-toe outとの関係を検討できると考えた.

▶︎フロントランジ動作時にknee in-toe outを呈する症例では、高頻度に内側縦アーチと横アーチの低下が認められ、内側縦アーチと横アーチの低下によりknee in-toe outが出現したと推察される。
▶︎外反母趾変形が少ないことや内反小趾が半数以上もいたことは、原因が特定できなかった。

引用
実岡ら:フロントランジ動作時にknee in-toe outを呈する症例に対する足部

【小学生 外反母趾と足趾把持力】
▶︎小学子どもにおいて外反母趾角と足趾把 持力が負の関係にあることが明らかになった。
▶︎しかし,先行研究においては,健常成人では外反母趾角と足趾把持力の関係性は 認められなかった。

▶︎この理由は,子どもの足部は発達段階にあり,筋力が足部形成に与える影響が大きい可能性が考えられる。
▶︎低足趾把持力により十分な足部アーチ形成が行われず,足部アーチの未発達が外反母趾角の増大につながったと考えられる。

▶︎本 研究は横断研究であるため,因果関係について断言できないが,足部アーチが発達段階にある子どものころに,足趾把持力を鍛 えることで外反母趾の予防につながる可能性がある。

引用

松原ら:小学生高学年における外反母趾角と足趾把持力の関係(2015)

・具体的なアプローチ(運動療法・手術)

▶︎外反母趾に対する治療としては、

・運動療法

・物理療法(電気刺激)

・インソール療法

・手術療法

などがあります。

以下文献を参照ください↓

【外反母趾 運動療法】

▶︎従来は外反母趾に対す る運動療法として,ごむ紐を両母趾にかけて母趾を内側 に引き寄せるホーマン体操や母趾外転筋を強化する目的 とした母趾外転運動があり,外反母趾角の改善に対して 有効性が示されている

【外反母趾 開張足】
▶︎開帳足の先行研究では,足幅の増大と外 反母趾角の増大とに正の相関関係を報告している。
▶︎また,外反母趾への足底挿板療法において横アーチへ のアプローチの有効性も示されている。

引用
石川ら:健常者において静的立位での外反母趾角と後足部アライメントは関連があるか(2017

【外反母趾 電気刺激】
▶︎過去の健常人を対象とした報告では,電気刺激母趾外転筋の随意収縮が困難な例に対して,収縮を誘導するために有効である と報告されている。
▶︎しかし,外反母趾症例を対象とした研究はほとんど見当たらなかった。

▶︎このことから,電気刺激が外反変形のある症例に対しても,母趾外転筋の随 意収縮の誘導に有効であることを示すと考える。
▶︎しかし,今回の結果は電気刺激による母趾外転筋の随意収縮誘導の即時効果を示すものである。

引用
浦本ら;母趾外転運動に対する電気刺激の有効性について(2013)

【外反母趾 手術】
▶︎外反母趾と診断され Lapidus 変法を施行した女性 7 名 9 足,平均年齢 70.1±9.5 歳

▶︎ レントゲン所見,AOFASscore の術後変化から,手術による構造・機能面の改善,疼痛軽減が認められた。
▶︎それに伴い母趾荷重 が可能となり,母趾面積・最大圧が増大したと考える。

▶︎後足部の影響による母趾圧増大は,長期的な予後を踏まえると改善する必要性があると考える。手術の影響を受けない後足部へ着 目することは,外反母趾に対する術後理学療法の一助となるのではないかと考える。

引用
野中ら:外反母趾術後の歩行と後足部形態との関連(2015)

【外反母趾 術後】
▶︎インソールは立脚初期における後足部の回内角度を減少させ(Davis ら,2008),中足骨頭の圧の集積を減少する(Stolwijk ら,2011)。
▶︎中足骨頭部の圧の集積が免れ即時的に疼痛 が減少。
▶︎外反母趾術後にインソールパッドを用いたアプローチは効果があると考えられる。

引用
花澤:外反母趾術後に中足骨部痛を招いた一症例 ~インソールパッドを用いた介入~(2014)

・まとめ

▶︎今回は、外反母趾角についてまとめてみました!

▶︎外反母趾角は、後足部との関連が深いので、それらの評価も併せて行うのが必須ですね!

▶︎他の足部評価については、下記の記事もお時間があればご参照ください↓

【足部評価まとめ】

【理学療法】足部評価まとめ(FPI、NDT、AHI、MLA、LHA)
↑こんな方に向けて記載していきます。 ○管理人プロフィール ▶足と靴専門の理学療法士(8年目)。新人教育担当。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です...

 

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