深層外旋六筋とは?(解剖、作用、トレーニング、鍛え方、歩行)

筋トレ

こんにちは!今回は、深層外旋六筋について、文献を元に記載していきます!!

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目次 

・深層外旋六筋の解剖

・深層外旋六筋の触診、筋電図

・深層外旋六筋の役割

・深層外旋六筋のトレーニング方法

・その他文献

・まとめ

・深層外旋六筋の解剖

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↑言葉の通り、股関節の深層を通る筋肉で、骨盤の前後面では以下に分けられます。

前面:梨状筋、外閉鎖筋

後面:大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋

▶︎また、骨頭中心よりも後方に位置するため、股関節後面の安定に関与しています。

・深層外旋六筋の触診、筋電図

▶︎では、これらの筋力は触診・または筋電図での検査は可能なのでしょうか??

▶︎筋電図については、いろいろ文献を見ましたが、測定可能であるという記載は見当たりませんでした。

▶︎同じく外旋筋の役割もある大臀筋によって覆われているため、表面筋電図による測定は現実的ではなさそうです。

▶︎また、触診については、いくつか方法がありました。

▶︎坐骨神経痛の原因にもなる梨状筋の触診については、以下の方法があります↓

①大転子、尾骨、上後腸骨棘をチェック

②尾骨-上後腸骨棘のラインから大転子にかけて二等分する

③二等分した上方に位置する三角形に梨状筋が位置している

↑こんな感じです。筋電図のように筋活動を個別で確認するのは困難ですが、筋硬結の有無をチェックすることは可能かもしれないですね。

▶︎ただ、そもそも筋硬結による固さなのか、筋緊張による固さなのかは触診では判断が困難であるため、あまり有用ではないような気もします。

▶︎よって、深層外旋六筋については基本的に触知出来ないと考えていたほうが良いかと思います。(個人の感想です)

・深層外旋六筋の役割

▶︎では、深層外旋六筋の役割について、文献を一部抜粋して記載していきます↓

【文献①】

▶︎股関節の深層に位置する筋は,股関節の安定性に関与 しているといわれており.股関節回旋(回旋)作用を もつ 筋が多い 。

▶︎実際に回旋筋の安定作用 については多くの報告が散見される

▶︎股関節の障害を有する患者は,歩行時の回旋運動が減少すると報告されてい る。

▶︎歩行時の回旋運動の減少は回旋可動域そのものの制限が生じていると考えるのが妥当であろうが,回旋運動の減少に回旋筋力が関与することも否定できない 。

▶︎歩行における回旋運動は,立脚前期の股関節屈曲から 立脚後期の伸展へと変化する中で,平均8°と報告され ている。

▶︎このように股関節屈曲・伸展(屈仲)角 度が変化する中で回旋角度は大きく変化するわけでないため,動作中に回旋角度を 定に保つ ように,回旋筋は等尺性の,いわば固定するための筋力を発揮し続けてい ると推測する

▶︎外旋筋力は屈曲位での筋力がやや大きいものの屈伸角度の違い による変化は少ないことがあきらかになった。 内旋筋力については,屈曲するにしたがっ て有意に大きな値を示すことがあきらかになっ た。

▶︎一般に外旋筋として,主動筋である大殿筋.外旋六筋,そして補助筋として縫工筋,恥骨筋,中殿筋,小殿筋,大腿二頭筋が挙げられる。

▶︎Lang らに よると主要外旋筋群の仕事量の合計は40.5kgm であり,そのうち大殿筋 が13.5kgm ,外旋六筋が 9,0 kgm ,中殿 筋後部線維が5.3kgm,腸腰筋が3.7 kgmであり,多くが大殿筋や外旋六筋によっ て発揮される。

▶︎ 具体的に歩行時には,前方に進むための屈伸変化の 中 で,股関節の水平面上の動きは8° と小さくlo)11),歩行 時に回旋筋が一定の筋力を発揮してい ると推測すると,外旋筋がこの水平面上の一定した動きを制御するの に適していると考える

▶︎次に,内旋についてであるが,解剖学的肢位では,内旋トルクを発揮する水平面上の最適な位置に筋が存在しないため,内旋筋の主動作筋はないといわれており,補助筋として,小殿筋,大腿筋膜張筋,中殿筋,半膜様 筋,半腱様筋が挙げられる。

【文献②】

▶︎股関節疾患患者において,股関節外旋筋の機能低下が生じていることを臨床上経験することが多い。一般的に,深層外旋筋は骨  頭を求心位に保ち,股関節の安定化を図る役割を有していると考えられている

【文献③】

▶︎THA 後股外転筋力は非術側と同程度に回復していたが,股外旋筋力は非術側に比較し 1/2 程度の筋力しか有していないことが示され,術侵襲として外旋筋群に侵襲を加える後側方アプローチの THA における特有の問題と思われる。

▶︎THA 後 timed stair test(以下 TST)には重回帰分析より TUGT,股外旋筋力が独立して影響していることが明らかとなった。

▶︎TUGT は TST と同様に 方向転換を含む検査法であり,股外旋筋の機能の一つとして方向転換への関与が考えられる。

▶︎股外旋筋の機能はその付着から大腿骨上の骨盤回旋であり,股外旋筋の求心性活動により骨盤前方と体幹は加速し,固定された 大腿に対して対側性に回旋することで方向転換を行っているとされ, 股外旋筋出力低下が TST に影響を与えたと考えられる。

▶︎南角らによると THA 術後早期で股外旋筋に対するトレーニングにより,股外転筋力がより効率的に発揮できるようになった, また田篭らは股外旋筋群は支持側へ荷重する瞬間に股関節の求心性を高め,外転筋力と同様に片脚立位動作の安定性に貢献す ると報告している。

▶︎股外旋筋は骨頭を求心位に保持し外転筋の補助動筋としての作用に加え,今回の検討にて方向転換時の骨盤回旋を誘導するこ とで円滑な応用歩行動作能力に寄与していると考えられる。

【文献⑥】

▶︎股関節内旋筋及び外旋筋は、股関節を回旋させる以外の機能として歩行時に同時収縮による安定性の役割や遠心性収縮による制御としての役割などがある。

↑このように、外旋運動以外に様々な役割があるということですね!

▶︎少し要点をまとめると、

・深層外旋筋は、骨頭を求心位に保つ機能がある

・その機能により、股関節の安定化を図ることが出来る。

・歩行時には内外旋筋群の同時収縮により、股関節の水平面上での動き(8度程度)を制御している

・また、大腿骨上の骨盤回旋に関与するため、特に方向転換時に重要となる

・臼蓋と股関節の安定を得ることで、股関節外転筋群の効率的な筋発揮に関与する。

↑こんな感じでしょうか?深部にある小さな筋群ですが、機能が低下すると股関節の不安定性を招くので要注意です。

・深層外旋六筋のトレーニング方法

【文献④】
▶︎股関節深部筋である小殿筋や梨状筋は、股関 節回旋させる以外の機能として歩行時の骨盤回旋を制御する役割姿勢制御に関与する筋としての役割が報告されている

▶︎ト レ ー ニ ン グ 方 法 は 、 低 負 荷 群 で は 黄 色 の セ ラ バンド(日本メデックス)を用いメトロノームにて 120/min のペースとし、高負荷群では、黒色のセラバンドを用い 40/min の ペースで股関節内旋運動を行った。

▶︎各群とも腹臥位、股関節最大外転位、膝関節屈曲位での股関節内旋運動を可動域全範囲 で行い、1 セット 20 秒間とし 3 セット行った。

▶︎股関節内旋トレーニングの即時効果として、低負荷群 ・ 高負荷群ともに片脚立位における重心動揺が減 少したことより、静的姿勢制御能力の向上に効果があることが示唆された。

▶︎これは、股関節内旋運動が深部筋である小殿筋 の支点形成能力を向上させ、股関節外転筋群をより効率よく働かせることができた可能性が考えられる。

▶︎さらに低負荷では、 静的アライメントにおける前額面上の安定性を向上させ、逆に高負荷では、動的姿勢制御や動的アライメントにおける前額 面上の骨盤の安定性を向上させることが示唆された。

【文献⑤】

▶︎股関節外旋筋のトレーニングは,腹臥位で股関節屈曲 0°・膝関節屈曲 90°での股関節外旋運動,仰臥位と側臥位での股関節軽度屈曲位からの股関節外旋運動とし,術後 1 週間は自動介助,術後 2 週目からは自動運動,術後 3 〜 4 週間は低負荷でのトレーニングを行った.

▶︎股関節深部外旋筋は,臼蓋に対して大腿骨頭を求心位に保持することから股関節の安定性に関与すると考えられている.

▶︎股関節外旋筋に対するトレーニングを実施したことにより,臼蓋と大腿骨頭の安定性が得られ, より効率に股関節外転筋群による筋力発揮が可能となったために股関節外転筋力が術前よりも 14.3%向上したと考えられた.

▶︎股関節外旋筋のトレーニングを行うことで股関節外転筋力が術前よりも向上したことから,THA 術後早期で の歩行能力も同時に改善したと考えられた.

↑トレーニングについては、あまり文献には具体的な方法は多く載っていなかったです。

簡単にまとめると、

・セラバンドを使用しての内外旋ex

   (股関節外転位、膝屈曲位)

・腹臥位で股関節屈曲 0°・膝関節屈曲 90°での股関節外旋運動,

・仰臥位と側臥位での股関節軽度屈曲位からの股関節外旋運動

↑このような感じですね。

股関節の安定性という意味では、これらのトレーニングを前段階で行った後に荷重練習等(歩行、方向転換など)を実施するのが良いかと思います。

・その他文献

↓その他、深層外旋六筋に関する文献を一部ご紹介して終わります。

【文献⑥】

▶︎股関節内外旋筋出力の優位性は、一般的に外旋筋出力の方が高いとされている。

▶︎今回の測定では股関節屈曲位と伸展位では内外旋筋出力の優位性が逆転する結果となった。

要因として肢位が異なることにより股関節内外旋に参加する筋が異なることが伺えた。

▶︎一般的に股関節内旋筋の主な動筋は、小殿筋前部線維・中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋であるが、KAPANDJIらによると梨状筋は股関節屈曲60度以下では外旋筋,60度以上では内旋筋として働くと報告している。

▶︎Delp SLらは大殿筋上部線維・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・梨状筋伸展位では外旋筋として働き屈曲位では内旋筋として働くと報告している。

【文献⑦】

▶︎側臥位で 5 秒間の股関節外転等尺性収縮課題を行った。

▶︎中殿筋の%MVC は、股関節最大外旋位で最も高い値を示した。

▶︎中殿筋前部・中部線維は、腸 骨稜後面外側を起始とし、大腿骨大転子の外側面に 停止するため、その作用は、股関節の外転であると同時に内旋でもある。

▶︎そのため、外旋位を保持するこ とで、中殿筋前部・中部線維が安静時での筋長よりも 長くなり、その結果、筋活動が高まったと考えられる。
▶︎また、本研究の測定は側臥位にて行った。側臥位 という不安定な状態で 5 秒間の股関節外転等尺性収 縮を行ったことによって、股関節外旋時に側臥位を 保持する為のバランスを保つ必要があった。それゆ え、外見的に股関節外旋位を保持していても、骨盤 の安定性を保つために中殿筋が内旋方向にも働い たのではないかと考えられる。

・まとめ

▶︎今回は、深層外旋六筋について記載しました。

▶︎あまり普段そこまで意識されることのない筋群ではありますが、『股関節の安定』という役割は大きいですね。

▶︎今回はこれで終わります。

最後までお読み頂きありがとうございました😊

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【文献①】小玉ら.股関節屈曲・伸展角度の違い による股関節回旋筋力の変化.理学療法学 第41巻第2号 60 一 65頁 (2014年)

【文献②】引用:冨澤ら.股関節屈曲角度の変化に伴う股関節外旋筋力と筋活動 筋電図学的分析.第 50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

【文献③】引用:THA 後の応用歩行動作能力に影響を与える因子 ~股外旋筋に注目して~. 第50 回日本理学療法学術大会(東京)2015

【文献④】引用:曽田ら.股関節深部筋に対する股関節内旋トレーニングの即時効果—姿勢制御能力および姿勢アライメントに及ぼす影響について—Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)2010

【文献⑤】引用:南角ら.股関節外旋筋に対するトレーニングは人工股関節置換術後早期における運動機能の向上に有用である.第48回日本理学療法学術大会(名古屋)2013

【文献⑥】引用:曽田ら.股関節内・外旋筋出力の優位性についての一考.第23回東海北陸理学療法学術大会.2007

【文献⑦】引用:新井.股関節肢位の違いによる中殿筋筋活動の筋電図学的解析.2007

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