こんにちは!今回は、パーキンソン病の理学療法についてまとめていきます!!
後半は文献も交えて記載していきます!
○管理人プロフィール
▶足と靴専門の理学療法士(8年目)。新人教育担当。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です。
▶実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝え出来ます。(ニーズがあるのかは不明)
・パーキンソン病とは
パーキンソン病は黒質のドパミン神経細胞が比較的選択的に障害されることで発症する神経変性疾患。
黒質のドパミン神経細胞以外にも全身の自律神経,青斑核のノルアドレナリン神経細胞,縫線核のセロトニン神経細胞,マイネルト基底核のコリン作動性神経なども変性する。
・パーキンソン病の症状
▶パーキンソン病の症状は、運動症状と非運動症状に分けられます!
・運動症状
無動,安静時振戦,筋固縮,姿勢反射障害。
・非運動症状
多彩な自律神経症状,うつ症状,睡眠障害に伴うさまざまな症状,認知症などの非運動症状も高頻度に合併する。
・パーキンソン病の定義
▶パーキンソン病の診断には、以下の基準があります。
<診断基準>
以下の診断基準を満たすものを対象とする。(疑い症例は対象としない。)
1 パーキンソニズムがある。※1
2 脳 CT 又は MRI に特異的異常がない。※2
3 パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない。
4 抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる。 ※3
以上4項目を満たした場合、パーキンソン病と診断する。
なお、1,2,3 は満たすが、薬物反応を未検討の症例は、パーキンソン病疑い症例とする。
※1 パーキンソニズムの定義は、次のいずれかに該当する場合とする。
(1) 典型的な左右差のある安静時振戦(4~6Hz)がある。
(2) 歯車様筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する。
※2 脳CT又はMRIにおける特異的異常とは、多発脳梗塞、被殻萎縮、脳幹萎縮、著明な脳室拡大、著明な大 脳萎縮など他の原因によるパーキンソニズムであることを明らかに示す所見の存在をいう。
※3 薬物に対する反応はできるだけドパミン受容体刺激薬又は L-dopa 製剤により判定することが望ましい。
↑こんな感じです。
パーキンソニズムは、4大兆候のなかでも安静時振戦が一番の基準になるみたいですね!
・原因、診断
発症原因は不明であるが,遺伝因子ならびに環境因子の関与が重要であることが知られている.
パーキンソン病の診断および治療は神経内科領域を専門にする医師であっても難しいことが多い.
・予後、ゴール設定
パーキンソン病自体は進行性の疾患である。患者によって進行の速さはそれぞれであるが、一般的に振戦が主症状だと進行は遅く、動作緩慢が主症状だと進行が速い。
適切な治療を行えば、通常発症後 10 年程度は普通の生活が可能である。それ以後は個人差があり、介助が必要になることもある。
しかし生命予後は決して悪くなく、平均余命は一般より 2~3年短いだけである。高齢者では、脱水、栄養障害、悪性症候群に陥りやすいので注意する。生命予後は臥床生活となってからの合併症に左右され、誤嚥性肺炎などの感染症が直接死因になることが多い。
・評価方法
・まずは、重症度を把握する上で、Hoehn & Yahr の重症度分類ステージがあります。
・重症度分類以外では、
パーキンソン病の特異的な症状である
・振戦(部位、程度、頻度)pill rollingなど
・固縮(部位、程度)歯車様、鉛管様
・無動(動作緩慢の程度)
▶kinesie paradoxaleの有無
・姿勢反射障害の程度(立ち直り反応・保護伸展反応の有無・遅延)
・歩行時
▶突進様歩行、すくみ足、小刻み、腕の振り
※薬を服用している場合↓
on―offの有無
wearing offの有無
ジスキネジアの有無
↑これらの有無や程度を評価します。
また、非運動症状については、
・自律神経症状の有無(嚥下障害 ・ 発汗異常 ・ 膀胱障害 ・便秘 ・ 起立性低血圧)
・仮面様顔貌、書字障害(小字症)、小声症
・精神機能障害、抑うつ、認知機能障害
・むずむず脚症候群:両脚にむずむずするような感覚障害が出現し,両脚をこすったり伸ばしたり縮めたりすることもある。安静時に強く活動時に軽減し,夜間に増強する。
↑これらの確認をします。
※pill rolling▶丸薬まるめ運動(手指)
※kinesie paradoxale▶矛盾性運動 (何もないと足がすくむが、障害物があるとまたぎ動作が出来る)
※on―off▶薬の効果で症状が抑えられているときをoff.抑えられていないときをon
※wearing off▶症状が進行し、薬が効かない時間が出てくる現象 ※ジスキネジア▶薬が効きすぎて意思に反して手足が勝手に動く現象
★兵庫県理学療法士協会作成の評価シートはこちら↓
・パーキンソン病の運動療法
薬物療法と併用して理学療法を実施することが勧められており,2002 年版の日本神経学
会による「パーキンソン病の治療ガイドライン」においても,運動療法として「運動訓練
はパーキンソン病の臨床評価の改善に効果があると結論できる」と記載されている。
理学療法の内容は,関節可動域運動,筋力増強運動,ストレッチ運動,バランス・歩行運動など多岐にわたる。
それらに加えて,リズム音刺激による歩行練習は練習効果が高いとされている。
臨床への応用では,Hoehn & Yahr の重症度分類ステージ(以後,H&Y stage)Iの軽症の段階では特別な訓練は必要ないとされている。
【パーキンソン病 理学療法ガイドラインより】
【トレッドミル歩行】グレードA 推奨度1
・ 介入群に対して,ストレッチング,関節可動域運動,速度依存性トレッドミル歩行を 8
週間実施した無作為化比較対照試験によって速度依存性トレッドミル歩行の効果を検
証したところ,歩行能力,バランス能力,falls efficacy scale の有意な改善がみられ,
対照群は介入前後で有意な変化がなかった
【感覚刺激】グレードB 推奨度2
・ 133 名のパーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)患者(Hoehn and Yahr staging
scale(H&Y stage)II: 63,III: 58,IV: 12)を対象に,異なる 3 つのリズミカルな感
覚刺激様式(聴覚,視覚,体性感覚)が,椅子上のトレイを持ち上げ戻ってくるまで
の方向転換に要した歩行時間などに与える影響を調査した。
視覚刺激は光反射ダイオードより産生される光のフラッシュを眼鏡に送る,聴覚刺激はイヤホン経由で,体性感覚(振動)刺激はリストバンド下に装着した小型のシリンダを通じて与えられた。
リズミカルな感覚刺激(全てのタイプ)は方向転換動作の速度を向上させ,短期のキ
ャリーオーバー効果がみられた 。
・まとめ
→今回は、ガイドラインを元にパーキンソン病の基本的な情報についてまとめました!
→また、詳しい病態や各症状に対してのアプローチ方法などもまとめていく予定です!
今回はこれで終わります。最後までお読み頂きありがとうございました!☺
【参考・引用文献】
・パーキンソン病 理学療法診療ガイドライン
・mindsガイドラインライブラリ
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