こんにちは!今回は、糖尿病について理学療法士の視点でまとめていきます!
○管理人プロフィール
▶足と靴専門の理学療法士(8年目)。新人教育担当。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です。
▶実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝え出来ます。(ニーズがあるのかは不明)
・糖尿病とは?
糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患です。血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖状態になります。
・血糖値の基準値
【健常人の上限値】
・HbA1c 値 6.2%
・空腹時血糖 80 ~ 110 mg/dl
・食後 2 時間血糖値 140 mg/dl
▶HbA1c 7.4%未満が血糖コントロールの目標
▶HbA1c が 8.4%を超えると網膜症のリスク増加
【高血糖】
・血糖がコントロールされていないⅠ型糖尿病患者
・空腹時血糖250mg/dL以上
・尿ケトン体陽性者
↑上記は運動時の血糖値上昇する可能性あり要注意
※尿ケトン体→脂肪がエネルギーとして使われたときに発生する物質で、糖尿病や飢餓状態などが疑われます。尿が甘い匂いする。
【低血糖】
・70 mg/dl以下→交感神経症状
・50 mg/dl以下→中枢神経系症状→意識低下
・糖尿病の症状
▶代謝障害の程度が軽度であれば、症状は気づかれないことがほとんどです。
血糖値が著しく高い状態では下記の症状が出てきます↓
口渇,多飲,多尿,多汗、体重減少,易疲労性、皮膚のかゆみ
【急性合併症】意識障害→昏睡
【慢性合併症】網膜症,腎症,神経障害 全身の動脈硬化症→心筋梗塞,脳梗塞,下肢の閉塞性動脈硬化症。
また、細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらし、近年では,膵臓癌や肝臓癌などの悪性腫瘍の合併 ,歯周疾患,骨折 や認知機能障害 リスクの増大など,多面的な併発しやすい疾患の存在が指摘されています。
【高血糖で上記の症状が出るメカニズム】
①血液に糖が停滞する
②活性酸素が大量発生
③活性酸素が血管を破壊
④酸素や栄養が末梢に運ばれにくくなる
▶神経障害:足のしびれ→手のしびれ
▶易疲労性(酸素・栄養不足)
▶体重減少(栄養供給不足)
▶皮膚のかゆみ(皮膚の酸素、栄養不足)
▶多尿、多飲、多汗(血液から糖を排出するため)
↑これらにより体内の水分が不足▶口渇
・血糖値と運動の関係
▶運動により低血糖を起こしたり、逆に血糖値が上昇することがあります。
運動と血糖値は、血液中のインスリン量が正常なら、筋肉が消費した量と同じ量のブドウ糖が肝臓で作られ、血糖値は正常範囲内の変動に収まります。
▶インスリン療法患者:血液中のインスリン量が多過ぎる状態で運動すると、筋肉で消費したブドウ糖に見合う量のブドウ糖が作り出されず、低血糖を起こします。(インスリンが肝臓の作用を抑制)
▶高血糖:筋肉であまりブドウ糖が消費されません。ところが肝臓は運動量に合わせてブドウ糖を作るため、血糖値がさらに上がってしまいます。
※高血糖=インスリン作用低下→インスリンの作用が十分でなくなると筋肉細胞の増殖や成長が妨げられて、筋肉の減少につながる。(つまり、ブドウ糖はあまり消費されない)
・低血糖症状
▶血糖値がおよそ70mg/dL以下になると、「交感神経症状」があらわれます。
・汗をかく
・不安
・手や指の震え
・顔が青白くなる
・頻脈
・動悸
・冷感
・空腹感
さらに血糖値が下がり50mg/dL程度になると、「中枢神経症状」があらわれます。
・あくび
・頭痛
・目のかすみ
・集中力の低下
50mg/dL以下
・昏睡
・意識低下
▶低血糖は生体にとってエネルギーが不足している状態を体が伝えるための症状。
▶中枢神経症状:エネルギー源を殆どブドウ糖のみに頼っている脳にとって、血糖の低下は重大事です。通常血糖値が50mg/dl以下になると、脳の機能が低下し、最終的に昏睡に至ります。
【無自覚低血糖】
▶低血糖が起きていることに気づかない状態をいう。。
▶低血糖を何度か繰り返すと、低血糖を感知するセンサーの動きが鈍くなるため、血糖値がかなり低くならないと症状が現れなくなる。※もともと自律神経障害がある場合も症状が出ない場合あり。
【低血糖→交感神経症状の理由】
・低血糖→インスリン分泌低下→血糖を上昇させるホルモンの分泌増加(交感神経系のホルモン:カテコールアミン)→血糖が下がり過ぎないように調節される。
・運動療法
▶一般に中等度の強度の有酸素運動(最大酸素摂取量の50%前後、運動時心拍数が50歳未満で100~120拍/分、50歳以降で100拍/分以内)を行うことが勧められている。
ただし、不整脈などで心拍数を指標にできない場合、自覚的運動強度として、「ややきつい」または「楽である」を目安とする。
▶運動の前後に5分間の準備・整理運動を行う。
▶目標心拍数を超えないように運動を行う
〔(220-年齢)-(安静時心拍数)〕×40~60%+安静時心拍数
▶運動の効果は翌日くらいまで持続するので、毎日続ける必要はなく、体調や天候の悪い時は休んだり1日おきにしても、インスリンの効き目を高める効果は持続する(48時間)
▶最低15〜20分は続ける(運動を始めて15分を境に、エネルギー消費の比率が、血糖中心から脂肪中心へと移行するため)。
※10分程度で中断する形の運動を繰り返すだけでは、たとえ1時間運動しても、エネルギー源として消費するのは血糖だけで、脂肪は消費しない。従って、血糖は下がっても脂肪は減らないので、療法としての効果は半減。
・まとめ
▶以上、簡単ですが、理学療法において特に必要だと思う部分を抜粋しました!
理学療法を行う際には、
①まずはカルテから情報収集
→血液データ、尿ケトン体の有無、日々の血糖値確認(空腹時、2時間後)、薬や注射の種類確認(時間も確認)
※今回は薬や注射についての記載は省きました(^_^;)
②介入前:高血糖・低血糖の症状や基準値を確認
③①を参考にして、リハビリ時間を決定
→運動による高血糖がリスク→食後は避ける
→低血糖がリスク→食前は避ける
(どっちのほうがリスクが高いか考えながら時間を決定)
④運動療法実施
→負荷量はややきつい~軽い
→目標心拍数を超えないようにする
↑こんな感じでしょうか?
糖尿病はとにかくリスク管理と負荷量の調節が大切ですね!
※具体的な運動プログラムについてはここでは割愛します。
今回はこれで終わります!最後までお読み頂きありがとうございました!
【参考・引用文献】
・厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
・国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
・糖尿病ネットワーク
・DMtown
・大平ら.糖尿病 理学療法診療ガイドライン.理学療法学 第 43 巻第 3 号 273 ~ 280 頁.2016
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