こんにちは!今回は、糖尿病の薬と注射について、理学療法士の視点でまとめていきます!
糖尿病の全般的な記事についてはこちら↓
○管理人プロフィール
▶足と靴専門の理学療法士(8年目)。新人教育担当。理学療法士になる前に、足と靴の専門学校にて2年間学んできましたので、足・靴に対する知識は比較的豊富です。
▶実際の靴作りも行っていたので、構造的なこともお伝え出来ます。(ニーズがあるのかは不明)
・糖尿病の薬、注射について
糖尿病では、
「インスリンが十分に出ない」(インスリン分泌不足)
「インスリンが十分に効かない」(インスリン抵抗性)
↑この2点を理由に高血糖を来します。
そのため、主にはこの2点に対して薬や注射を用います。
また、正常でもインスリンの分泌には基礎分泌と追加分泌の2種類あり、そのどちらを補うのかによっても薬を使い分けます。
※基礎分泌
→常に体は少量のインスリンが分泌(食事をしていなくても、体は糖を生成してる為)
※追加分泌
→食後に血糖調節のためインスリン分泌。
※肥満の人→インスリンの分泌が一日を通して多い。(肥満があると、インスリン抵抗性が強くなるため)
※2型糖尿病→追加分泌が少ない。
・薬、注射の種類×4
血糖値を下げる薬は、使い方で分けると飲み薬と注射薬の2種類ですが、その働きからは、大きく4つに分けることができます。
・インスリンを補充する薬(注射薬)
・インスリンを出しやすくする薬(飲み薬・注射薬)→分泌促進
・インスリンを効きやすくする薬→抵抗性↓
・糖の吸収や排泄を調整する薬(飲み薬)
↑これらがあります。
・薬の作用・副作用
ではまずは薬の種類からみていきます。
▶薬については、作用する器官によって副作用が異なるため、特に注意が必要だと思います。
▶下の図は、飲み薬がからだの中でどのように効果を表すかを示しています。
【インスリンを出しやすくする薬】
・スルホニル尿素薬(SU(エスユー)薬)
▶作用:膵臓のβ細胞(べーたさいぼう)を刺激し、インスリンの分泌を促進。
▶主な副作用:低血糖、体重増加など
・速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
▶作用:内服後すぐから効き始め、短時間作用してインスリン分泌を促進。
▶主な副作用:低血糖など
・DPP-4(ディーピーピーフォー)阻害薬
▶作用:膵臓に作用するインクレチンというホルモンの分解を抑制し、その作用を助ける。インクレチンは血糖値が高い時にインスリンの分泌を促すと共に、血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制させる。
主な副作用:低血糖、便秘など
【インスリンを効きやすくする薬】
・ビグアナイド薬
▶作用:肝臓からの糖の放出を抑える、インスリンに対するからだの感受性を高める。
▶主な副作用:食欲不振、吐き気、便秘、下痢など
特徴: 高齢者、ほかの病気のある方は副作用が重く出ることがある。 たくさんお酒を飲む場合はこの薬は使えない。
・チアゾリジン薬
▶作用:インスリンに対するからだの感受性を高める。
▶主な副作用:むくみ、急激な体重増加など
【糖の吸収や排泄(はいせつ)を調整する薬】
・α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI:アルファー・ジーアイ)
▶作用:小腸からの糖分の消化・吸収を遅らせて食後の高血糖を抑える。
▶主な副作用:お腹の張り、おならの増加、下痢など
▶特徴:糖の吸収を抑制する薬であるため、砂糖などの二糖類は吸収するのに時間がかかり低血糖の対応が遅くなる。そのため、この薬を飲んでいる方が低血糖の時には必ず「ブドウ糖」を服用する。
・SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬
▶作用:尿細管から血液中へのブドウ糖の再取込みを妨げ、尿の中に糖を出して血糖を下げる
▶主な副作用:低血糖、尿路・性器感染、脱水、頻尿、皮膚症状など
▶特徴:高齢者、体調の悪い時、脱水になりやすい状態の時には上記以外の重い副作用も出ることがある。
【その他】
・配合薬
▶上記を組み合わせた薬。
↓詳しい薬の品名などについてはこちらを参照下さい!!
・注射薬の種類
→注射薬には、大きく分類して
①GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬(インスリンを出しやすくする作用)
②インスリン製剤(そのものを補充)
の2種類があります。
両方とも注射薬ですが、GLP-1受容体作動薬はからだからインスリンを出しやすくする作用があるのに対し、インスリン製剤はインスリンそのものを補充します。
【GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬】
→作用:インスリン分泌を促し、グルカゴン濃度を低下させる。また、胃・腸管での食べ物の移動が遅くなり、消化のスピードが遅くなる、食欲を抑える作用などがあります。
→副作用:下痢、便秘、嘔気など
【インスリン製剤】
・超速効型インスリン製剤
→作用までの時間10~20分
→追加分泌に作用
・速効型インスリン製剤
→作用までの時間30分~1時間
→追加分泌に作用
・中間型インスリン製剤
→作用までの時間:30分~3時間
→基礎分泌に作用
・持効型溶解インスリン製剤
→作用までの時間:1時間~2時間
→基礎分泌に作用
・混合型インスリン製剤(中間型との混合)
→基礎分泌、追加分泌を同時に補えるように作られた製剤。
・配合持効溶解製剤(持効型との混合)
→基礎分泌、追加分泌を同時に補えるように作られた製剤。
↓各注射の詳細については下記参照ください
・まとめ
→今回は、インスリンの薬・注射の種類についてまとめていきました!
薬については、作用する器官によって副作用が異なるので、そこに注意がいると思います!
また、注射については追加分泌・基礎分泌のどちらに(もしくは両方)作用するものなのかを把握することが大切ですね!
それによってリハビリを行う時間を調整したり、負荷量を調整する必要が出てきますので、必ずチェックしないといけないですね!
今回はこれで終わります。最後までお読み頂きありがとうございました!☺
【参考・引用文献】
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター
・DMtown
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